まひなおしのみ 〜Pinoのきままな雑記帳〜

「クルトOTKのススメ。」移転先です。その他転鳴エルヴィ配布所などなど

エルヴィとコロロン☆スター

ここは不思議な星、コロロン☆スター。
ポケモンのようでまだポケモンとして認められていない「コロモン」と呼ばれる生き物の住む、
(辞書順的な意味で)こりん星の近くにある、小さな星でした。
そんな星の雲の上、いわゆる天国で、一人の天使が生まれました。
彼の名はエリー・ヴィーエル。後に転鳴エルヴィとなる男の子です。
エリーという名から分かるとおり、両親は女の子が生まれることに期待していました。
男の子の名前が思いつかなかった両親は、その子を女の子のように育てることにしました。
彼はすくすくと育ち、幼い頃は可愛い可愛いと言われ、本人も喜んでいました。*1


しかし、平和な日々も長くは続きませんでした。
彼らの願いはむなしく、エリーは男の子として成長していったのです。
親はすんなりと現実を受け止め、男の子らしく振舞うように言いました。
しかしエリーは、そんな現実を認めることが出来なかったのです。
「可愛いままでいたいのに、どうして…。」
彼が可愛くいたいと願えば願うほど、筋肉が付き、声が低くなっていくのでした。


「このままでは自分を嫌いになってしまうかもしれない…。」
そんな彼はある日、一冊の本を見つけました。
その本には、「妖精は堕天使の一種である」と書かれていたのです。*2
小さくて無邪気な妖精になれば、きっと可愛いといってもらえるはず。
そう思った彼は、堕天使になるためにいたずらを始めました。


いきなり豹変したエリーを見て、当然両親は驚きました。
「うちの子があんなことをするはずがない…。これは悪魔の仕業だ!」
両親はエリーを捕まえ、悪の心を取り除く儀式を行いました。
「うわああああああぁぁぁぁっ!!」
エリーは妖精になりたかった、ただそれだけでいたずらをしていたので、
元々彼に悪の心などほとんどありませんでした。*3
しかし相当しぶとい悪魔が憑いているとみなされ、儀式はとても長引きました。
その結果、彼には本来なかったはずの「恨み」が生まれ、悪の心として取り除かれました。
そうして取り除かれた「恨み」は、下界へと追放されたのです。


悪の心が取り除かれ、ほっと一安心した両親。
エリーは妖精になる夢を諦めてはいませんでしたが、
儀式の辛さに堪えられなかったのか、エリーは両親に今までのことを話しました。
優しい両親はすぐにOKを出し、エリーを妖精にするよう、神様に頼みました。


なんとか神様の出す条件をクリアし、エリーは無事妖精になることが決まりました。
しかしそれは、両親との別れでもありました。
自分を誰よりも愛してくれた両親…本当は別れたくありません。
しかし、妖精になることは何よりも望んでいたこと。今更悔いなどありませんでした。
エリーが旅立つ直前、両親はエリーにあることを約束させました。
それは、「できるだけたくさんの人を幸せにすること」でした。
エリーは笑顔で頷き、地上へと旅立つのでした…。


しかしこの星は、それほど優しいところではありませんでした。
なぜなら、この星は妖精の星といってもいいほど、たくさんの妖精がいたからです。
それもそのはず、この星の生き物の大半を占める「コロモン」の半分は妖精に近い生き物。
妖精が飽和しているこの星で、まだ妖精として未熟なエリーは何も出来なかったのでした。


「このままじゃ、何も出来ずに死に絶えてしまう…。」
妖精の元気の源は、生き物の喜びでした。
例え小さくても、たくさんの生き物が喜んでいれば、妖精は元気でいられます。
しかし何もせずにいるだけでは、「幸せ泥棒」扱いされ、他の妖精に嫌われてしまうのです。
自分が生きるためにも、そして両親との約束を果たすためにも、
人々を幸せにする努力が必要となるのです。


そんな中、困っているエリーに声をかけてきたのは、一匹のコロモン、ピロピーノでした。*4
ピロピーノはエリーに、こんなアドバイスをしました。
「何も生き物が住んでいるのはこの星だけじゃないよ。
それこそ、妖精がほとんど住んでいないような星だってある。
とりあえず自分を呼んでいると思うところへ行ってみたらどうかな?」
当てのないエリーは、その言葉を信じて宇宙へと飛び立ちました。
まだ知りもしない、自分を求める人を探しに…。


ところがそれは、自殺行為といっても過言ではありませんでした。
先ほど述べたとおり、妖精の元気の源は、生き物の喜び。
生き物のほとんどいない宇宙空間に飛び立つことは、
妖精にとっては核融合炉に飛び込むようなものでした。
ピロピーノは、妖精の魔力に魅了されすぎていたため、
「妖精だったら何でもできる」と思い込んでいたのでした。


宇宙へと飛び立とうとするエリーの心を察したのは、下界に追放された悪の心でした。
「…あいつ、無茶しやがって!」
悪の心は、その本体があってこそ。エリーの死は、すなわち彼の死も意味します。
その頃悪の心は下界で善の心になるため働かせられていたので、
エリーを助けるために後をつけることはすぐに許可されました。
こうして悪の心は、エリーが生きていることに対しての「感謝の心」で、
エリーを後ろから支えることとなったのでした。


ところが、いろんな星に飛び回るエリーを追いかけることは、
例え元々彼の心の一部であった悪の心にも至難の業でした。
エリーは妖精に必要な能力のほとんどが欠けているため、
人が住んでいるかどうかを知るためには星に近づく必要があったのです。
そんな必死の追いかけっこをしている間に、とうとう最悪の事態が起きてしまいました。
「見失っちまった…。」
ちょうど星の裏に隠れてしまったのか、悪の心はエリーを見失ってしまったのです。
当然「感謝の心」を失ったエリーは次第に弱っていきました。
「…あれ?…なんだか…眠く……なって………きた……。」
エリーは運よく、近くの星の重力で引き寄せられていきました。
その星こそ、UTAUのみんなが住む星だったのです。


悪の心が転鳴ワルビィとしてその星にやってきたのはそれから数ヶ月先の話。
それまで悪の心はエルヴィを探してずっと宇宙空間を彷徨っていたわけですね。
それでもエルヴィとの再開時に「また悪さをするつもりだな!」といわれるワルビィが不憫すぎる…。

*1:『幼い頃は〜』→中の人の実体験

*2:どこだったかは忘れたのですが、確かネット上です。
Wikipediaでないことは確かなのですが…。

*3:ズル休みするなんて本当はとても辛かったんです。
でもなりたい自分になるために取った行動なんです(実体験)

*4:ピロピーノ=後のPinoである